仕事をしていると色々と理不尽なことがあります。
クレーム処理というものも、その理不尽な仕事の一つになるかと思いますが、「クレームで結構凹みやすいんです…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
かくいう私もクレームを受けるととても凹みます。
クレームを受けているときはもちろんですが、終わってからも「なんでもっとうまく返せなかったのか」「あの時もっとああ言えばよかった」なんていう風に延々と反省会をしてしまうこともままあります。
この記事では、そんな「クレームに弱い」という意識を持っている私のような方に向けた立ち直り方を紹介したいと思います。
凹むのが当たりまえ
クレーム処理を行ったあとに凹んで、事後の一人反省会でも凹んで、なんてことをやっていると、凹んでいる自分が少し惨めになってきます。
特に事後の反省会については、自分が自分で責めている感覚がちゃんと自分にあったりして、クレームに凹む弱い自分と、そんなふうに自分に優しくできない自分との両方を憎らしく感じてしまいます。
ここでのポイントは憎らしさが自分に向いてしまっていることです。
クレームが発生する原因は、恐らく自分ひとりにあるわけではありません。
しかしクレームをぶつけてくる相手は、自分ひとりにぶつけてきます。
ここでついクレームを受けることになった自分だけに意識のベクトルを向けてしまうのは危険です。
ひとまず「でも悪いのは自分だけではないよな」とブレーキを掛けてあげてください。
そうすることで少しだけ冷静になれます。
次にクレームで凹むことについても自分を慰めてあげます。
「それ、凹むの当たり前だから。ちょっと散歩して、お茶でも飲んできたほうがいいよ」って言ってあげてください。
本当は身近な人に「クレームで凹みました」って伝えて、上のことを言ってもらえると良いのですが、そうやって他人に頼れる人ばかりでないこともここで「普通です」と申し添えておきたいと思います。
ということで、周りに頼れないようであれば躊躇せずに自分で自分を慰めてあげてください。
凹むのはスクワットと同じ
凹むのは当たり前と慰めてあげて、ちょっと落ち着いてきたら少しイメージトレーニングをします。
目を閉じて、凹んだ心の様子を思い浮かべながら、体の状態を確認してあげます。
ひょっとしたら汗をかいていたり、変な力が入っていたり、動悸がしていたりなどなど、なにかしら身体的な変化が生じていないかをチェックしてください。
そして徐々にその凹んだ心が復元する様子と、体の状態がもとに戻っていくイメージを頭の中で描きます。
要するに凹むというのは、トレーニングなのです。
凹んで戻る、凹んでも戻る。
こうやって心は鍛えられているのです。
当然オーバートレーニングは避けなければ行けないので、ギリギリまで自分を追い込んでクレーム対応をする必要はありませんが、クレーム処理をするたびに心と体がクレームに強くなると思うと少しだけ気持ちが落ち着くはずです。
身体的な変化については、実はストレスが自分の処理能力をあげるがゆえに起こることなので、ストレス性の良くない現象と判断しないのが立ち直りを早くするコツになります。
おすすめ書籍:スタンフォードのストレスを力に変える教科書(ケリー・マクゴニガル、大和書房)
ストレスそれ自体は、脅威に対する人間の防衛本能であり、自然なことだそうです。
ストレスが悪さをするのは、ストレスがかかることを「悪いこと」と判断することによるのだとか。
体が脅威に対して俊敏に、正確に対応できるように心拍数を上げ、瞳孔を広げていると思うと、確かに身体反応がポジティブなものに捉えられます。
しかもこのストレスが終わったあとというのは、心地よくなるホルモンが出たり、病気に強くなったりするそうなので、本書を読むこと自体が一つのストレス耐性強化につながるのではないでしょうか。
TEDで動画もあります↓
対策を考える
ここまで来てやっと対策を考えるタイミングになります。
クレームの起きた原因は、これまで誰の目にも留まらなかったことが原因ということもあります。
したがってそのクレームの原因を突き止めることは、業務の全体の効率化に資する可能性があり、クレーム元との関係をより良いものにすることもできる可能性があります。
しかしクレーム直後は感情が激しく揺れ動いてそんなことを言ってられませんので、このフェーズはとにかく気持ちが少し落ち着いてから対応してください。
私がよく使う対策を考える手法は2つ。
一つが書くことで、もう一つが人に相談すること。
実際に何があって、どういうクレームが来て、それにはどういう原因があって、という顛末書を作ってみると、とてもスムーズに問題点が見えてくると思います。
ひょっとしたら業務フローに、あるいは担当分けに問題があるかも知れません。
当然クレーム元に原因があることだってあるはずです。
ここまでくればあなた一人が被ったクレームが、あなた一人の原因であるという錯覚は薄れていくはずです。
そして書くことと(可能であれば)並行して、人とも相談をしてください。
できれば上司や先輩職員と話をしてみてほしいと思います。
話の入りは「結構きついクレームがありまして、少し散歩してきます。後ほど少し内容についてご相談させてください」と言えばまず拒否されることはないでしょう。
クレームを無視するというのは、トラブルを摘む気がないということなので、上司失格です。
もし拒否された場合には、その更に上の人に相談しましょう。
…という風に対応をしていけば、結構新しい展開がどんどん進んでいきます。
大切なのは人を巻き込むことです。
他人を巻き込むと、他人が動き始めて、どんどんと話が進んでいきます。
そして自分だけで抱えることもなくなるので、気持ちが楽になっていきます。
時間が解決してくれるのを待つ
最初の気持ちの波が落ち着き、対策も考えて動き始めたとしても、それで気持ちが落ち着くかと言えばそうではありません。
やはりクレームそのもののダメージというのはしばらく残ってしまうものです。
これを解決するのは恐らく「日にち薬」しかないのではないでしょうか。
時間が心を癒やしてくれるのを待つのが一番ですが、どうやってその凹む気持ちを意識しないで日にちを稼ぐかというのが快適に過ごすポイントになりそうです。
「運動」「瞑想」「お風呂」「寝る」あたりがお金もかからなくてすぐにやれるおすすめの対策です。
それぞれやりたくなる書籍と記事を紹介しますので、興味があればそちらもご覧ください。
■運動についてのおすすめ書籍:最高の体調 進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法(鈴木祐、クロスメディア・パブリッシング)
■瞑想についてのおすすめ書籍:頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる(アンディ・プディコム、辰巳出版)
■お風呂についてのおすすめ記事:【強制的リラックス】ストレスが溜まってしんどい時は銭湯でゆるめよう-ゆるライフ
■睡眠についてのおすすめ書籍:SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術(ショーン・スティーブンソン、ダイヤモンド社)
無理に強くなろうとしなくてOK
最後にクレームから日にちが経って、振り返ったときに「もっとクレームに強くなりたい」という気持ちが湧いてくると思います。
しかし私たちはついつい「クレームに強くならなきゃだめだ」とか「ちゃんとクレーム処理できないメンタルでは仕事もできない」というふうに自分を責める方向に考えてしまいがちです。
こういった際には、無理に強くなる必要はないんだということを思い出してほしいと思います。
クレームで凹むのは、当たり前のことです。
プロボクサーだっていきなりボディーブローを喰らえばダウンしてしまいます。
だから自分を責めるのはやめましょう。
とはいえなかなか自分を責めるのをやめられないのが私たちです。
そんな私たちは、どうやって自分を責めるのを止めればいいのか。
答えは簡単で、世界が悪いことにしてしまえば良いのです。
自分はクレームに凹む人間で、その後も気持ちが塞いでしまう人間なのに、クレームが起きる社会は一体どうなってるんだ!と憤慨してください。
怒りをどうぞ外に向けてください。
■関連記事:【積極的責任転嫁】ゆるく生きるために変えるべきは自分じゃなくて世界との接し方‐ゆるライフ
一通り世界に対して悪態をついたら、次は自分用の対策を考えましょう。
この自分用の対策を考える際にもコツがあります。
それは自分を変えようとしないことです。
ノートでもなんでも良いので、自分の性質からくる困ったことを書き、その対策を書いてあげるのがおすすめです。
例えば、
自分はクレーム処理で凹み、対応がちょっとうまくない時がある
↓
凹んだら散歩にいかせてもらう。得意な人に変わってもらう
といった感じです。
こんな風に対策を考えておけば、自分を責めないまま、次回以降はこれを取っ掛かりとして少しずつ改善を図ることも可能になるはずです。
まとめ:凹んで戻って強くなる
クレーム処理は、本当に誰でも凹むし、疲れます。
そして立ち直るまでの時間なんて、誰にもわかりませんし比べることもできません。
凹んで良いし、しばらく凹んだままでも全然OKです。
凹んだままでいても、日が経つに連れて別の問題が出てきたりなんなりして、もとのクレームの凹みが気にならなくなったりします。
そんなことを繰り返しているうちに、なんとなく対策とか対応事例が自分の中に積み重なって行くものです。
人間1日で強くなりません。
でも、気づくと強くなっていたりします。
逆に、無理に強くなろうとすると怪我に繋がる恐れがあったりします。
心も筋トレと同じように、負荷をかけたあとは時間をおいたり、マッサージをしたりして回復をさせないと逆に弱くなってしまうものです。
もし今あなたがクレーム対応で凹んでいる真っ最中なのであれば、どうぞ今日は早く仕事を上がり、ジムで汗を流したあとに銭湯でくつろぎ、美味しいものを食べて早めに寝てください。
対策は、落ち着いたらやればいい。
クレームを受けたあなたが無事でなくては、原因を解決するためのクレーム処理などできません。
どうぞ自分を労ってあげてください。
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