『最高の体調 進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法』(鈴木祐、クロスメディア・パブリッシング)を読みました。
ホモ・サピエンスは、生まれてから長い間狩猟採集民族として生きてきた、ということをベースに、現代との違いからどう過ごせば本来の人間の健康が取り戻せるか、という研究を集めてまとめた一冊でした。
とてもおもしろかったです。
・狩猟採集民族には寝不足がない
・現代に多すぎるものと少なすぎるもの
・散歩と睡眠
・レアプレイザルという技術
狩猟採集民族の暮らし方
本書は、何よりも狩猟採集民族の暮らしが見えてくるのが面白い。
彼らは1日に4〜5時間食料を探し、他の時間は仲間と楽しく過ごすそうです。
決まった時間に寝起きするため、そもそも「寝不足」という言葉がないのだとか。
毎日決まった顔ぶれの者と過ごし、毎日同じような生活を営むというのも、現代の目まぐるしい毎日とはだいぶ違いそうです。
その一例として、2016年にドイツのセバスチャン・シュワルツ博士が興味深い実験をしています。健康な 13 人の男女をドイツの森林公園に送り込み、3泊4日だけ旧石器時代に近い暮らしをさせたのです。 ・スマホやパソコンなどの電子機器はすべて没収 ・朝食は抜いて昼過ぎに根菜類・フルーツ・ナッツなどで軽い食事 ・夜は野菜を中心に加熱調理した肉を食べる ・睡眠は必ず8時間より多く取る いかにも健康的な暮らしですが、その成果は予想以上でした。被験者の体重は平均で7・5%減り、内臓脂肪も 14・4%改善。インスリン抵抗性(糖尿病リスクの指標)にいたっては 57・8%もの改善を見せていました。たった4日の実験としては、驚くべき改善ぶりです。
『最高の体調』(Kindle版)位置: 1,171
現代に多すぎるものと少なすぎるもの
・カロリー、刺激、人間関係が多すぎる→もっと質素な暮らしでいい
・逆にビタミン、ミネラルが不足している→ナッツやフルーツで補うのがいい
食事は、肉・魚や野菜を中心としつつ、ナッツ・フルーツを取り入れていくのが良さそう。
タンパク質は豆でも良いはず。
低カロリー、低刺激、狭い人間関係という、現代の志向とは逆になるが、それが本来の人間の暮らしであるというのは、内向型人間の私としてはとても励まされました。
著者のブログでは食事の紹介もされていましたので、興味ある方はご確認いただけると良いかも知れません。
散歩と睡眠とレアプレイザル
上の多すぎるものと少なすぎるものに、更に「不安・ストレス」と「睡眠」が挙げられます。
これら2つは密接に関係しており、不安・ストレスが睡眠を妨げたり、睡眠をしっかり取ることで不安・ストレスに疲弊する心身を回復させてあげる事ができます。
そういう観点で、散歩はとても体に良いそうです。
不安にも効くし、睡眠の改善にも繋がります。
更に、週2くらいの頻度で筋トレをすると更に不安への効果があるのだとか。
まずわかったのは、どんな運動でも、ある程度の負荷があれば脳には良い影響があるという事実です。 筋トレでもランニングでも水泳でも、ジャンルはなんでもかまいません。とりあえず体を動かしておけば、あなたの脳機能は確実にアップします。 運動で脳のパフォーマンスが上がる最低ラインは次のとおりです。 ・1回のセッションで 45〜 60 分ぐらいの運動をするとストレスが改善し、認知機能も向上しやすくなる ・「週に2回の運動」と「週に4回の運動」を比べた場合、両者に大きな効果の差はない ・運動のレベルは「軽く息があがるぐらい」から「ヘトヘトになるぐらい」までの範囲で行わないと意味がない 基本的には「1回 45 分の少しキツい運動を週に2回」のペースで行うのが、脳機能のアップが見込める最低のラインです。 あなたのパフォーマンスを限界まで発揮させるためにも、ぜひこの基準を守ってみてください。
『最高の体調』(Kindle版)位置: 1,533
また、良い睡眠を摂るためには、耳栓とアイマスクが有効なのだそう。
ちなみに、良い睡眠かどうかは、次の3つがポイント
・眠りに落ちるまで30分以内
・夜中1回しか起きないかつ20分以内に眠れる
・85%以上の睡眠を寝床でとっている
また、「レアプレイザル」という技術が紹介されていました。
レアプレイザルというのは、ストレス反応が起き始めたら「楽しくなってきたぞ!」と自分に言い聞かせることで、これをやることでストレスの軽減が確認できたという研究があるそうです。
これに関しては沢瀬直太朗さんの本のメソッドに近い感じがしました。
口に出すことで、自分をそっちに持っていくことができるというもので、私も使っています。
効果は個人的にはあると思いますが、定量ができないため確約はなかなか難しいですが、無料ですし、なにか損することがないことだけは確かなので、試しに1ヶ月間歩いている間自分に良いことを声がけしてあげることを試してみるのは大変おすすめです。
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